着心地はいかに?オーガニックコットンのメリット・デメリットを解説
素材選びは、アパレル商品を作るにあたって非常に重要なステップのひとつです。今回はそんな素材の中のひとつ、オーガニックコットンに注目します。昨今使用が推奨されている素材ではありますが、なぜオーガニックが選ばれているのか、普通のコットンとの違いは何なのか、説明します。メリットとデメリットも紹介するので、確認しましょう。
オーガニックコットンって何?
基本的な用語の解説からになりますが、コットンとはワタから取れる繊維、つまり木綿のことです。オーガニックは、有機栽培のことを指します。このことから、有機栽培された木綿のことを意味しているのは、簡単に理解できると思います。しかし、オーガニックコットンを名乗れるのはそう簡単なことではありません。
基準に則ってオーガニック農産物を作っていること、農薬や化学肥料に係るルールを逸脱せずに作っていることなど、認定機関が提示する厳しい条件を満たさなければならないからです。しかもこの認定を取るのに2~3年以上かかり、認定をパスした後も、機関が決めた栽培プランをしっかり守っているかどうか、毎年チェックが入ります。
かつ、どこの農場でいつ生産されたコットンなのか、必ず明確になります。このように生産が一筋縄ではいかないオーガニックコットンですが、なぜ多くの人に支持されているのでしょうか。次に、オーガニックコットンを使うことで得られるメリットについて学んでいきましょう。
オーガニックコットンを使用する際のメリット
実は、オーガニックでもオーガニックでなくても、質は大差ありません。そもそもコットンは保温性・保湿性が高いので冬は暖かく、それと同時に吸湿性・通気性も高いので、汗をかく夏も快適に着られます。ふつうのコットンでも充分肌に優しい素材なのです。では、オーガニックとそうでないコットンの違いは何なのかといえば、それは、地球環境に優しいかどうかというところです。
ふつうのコットンを作る際には、多くの化学肥料や農薬が使用されています。たとえば殺虫剤ですが、こういった薬品を使用するとそれが土壌に残ったり、地下水に漏れ出したりして、環境の汚染につながってしまいます。それだけではなく、農薬というものは、それ自体が作られる時点ですでにたくさんのCO2が排出されており、そもそも環境に悪いものなのです。
オーガニックコットン栽培では殺虫剤を使用していません。カゲロウやてんとう虫といった益虫を使うことで、農薬の使用を避けることができるのです。そのほか、ふつうのコットン栽培で使われる落葉剤も、オーガニックコットン栽培では使用しません。落葉剤は、機械で綿を収穫するときに葉っぱが付着しないよう、一気に葉っぱを枯らせるためのものです。オーガニックコットンは人の手で摘んでいるので、機械を使いません。そのため落葉剤も不要なのです。こうして環境に気を付けることは、後々の人間の健康を守る意味でも、非常に大切なことです。
また、オーガニックコットンを作る際には、雇用倫理や労働環境についてもルールを守らなければなりません。たとえば、強制労働をさせていないか、児童に労働させていないか、安全で衛生的な環境で仕事ができているか、などです。オーガニックコットンを使うということは、コットン栽培に関わる人たちの生活を守ることにもなるわけですね。
オーガニックコットンを使用する際のデメリット
使用することで、環境保全や人々の安全な生活のためにもなるオーガニックコットンですが、使用者にとってデメリットも少々あります。たとえば、コットンのみを使ってできている製品は伸縮性がありません。着用時に窮屈な感じがしてあまり好きになれない、という人もいます。
また、オーガニックコットンはかなり繊細な素材なので、お手入れする際にはよく注意しなければなりません。吸湿性に優れているのは前述したとおりですが、オーガニックコットン製品は生地に厚みも出るため、どうしても乾きづらくなります。梅雨の時期、寒い冬などはしっかり乾かすことを心がけましょう。
洗う際は、天然由来で無添加の石鹸を使うのがおすすめです。塩素系の漂白剤は、オーガニックコットン特有のテクスチャーを損ねてしまうので、使ってはいけません。洗濯機を使う場合には、必ずネットに入れて「手洗い」や「ソフト」などのコースでコットンが傷つくのをできる限り防いでください。
洗いが終わったらそのまま放っておかず、すぐに乾かします。乾燥機はもちろんのこと、天日干しも向いていません。日向に干すと、色あせや黄ばみを引き起こす原因になってしまいます。干す際は風通しがよい日陰に置くのがよいですよ。このように気を遣う点が多いですが、長持ちさせるために気を付けてみてください。
自然環境、ひいては人間の健康を守ることにつながるオーガニックコットン。サステイナブルな社会の形成が求められる今の時代に、ぴったり合った素材ですよね。素材を選ぶ理由のひとつとして、こうしたポイントに目を向けるのもよいのではないでしょうか。